スキップしてメイン コンテンツに移動

日本:太陽紫外線研究・本質予防・情報発信で遅れた国


「とってもクレイジーで不思議な太陽紫外線予防をやってる国」。これは私が2016年6月にCancer Council Victoria(ビクトリアのオーストラリアがん協議会)で2週間、予防先進国の先駆的な太陽紫外線予防研修を受けた際にスタッフが日本の紫外線予防の現状について語った一言です。私は衝撃を受けました。「いえいえ、日本の女性は恐らく世界一シミやシワといった美容を気にしてますよ。アームカバーまでつけて僕が思うに過剰と思うぐらい真剣に予防してますから!」「でも、それって本当に予防に繋がってるの? 日本人女性は毎日のUV太陽紫外線レベルを明確に把握して行動してる? オーストラリアは早くから太陽紫外線の影響による皮膚がんリスクが顕在化していたから1959年には世界に先駆けて紫外線量モニタリングを開始しているわ。そして、政府機関や民間機関の様々な教育や啓発プログラムが充実しているのが何よりも日本との大きな違い。又、TVや新聞ではその日と翌日の高精度な紫外線情報が日々、情報発信されていて生活者はその情報から自分の今日の行動を決めるわ!付け焼き刃の予防アイテムを身につけるよりももっと大事なことはUV太陽紫外線を国民全てが正しく認識すること。こんなちっちゃな子供の頃からね。予防の本質は全てそこから!」。

私は絶句しました。オーストラリアに遅れること実に31年。日本の気象庁が紫外線量観測をスタートさせたのは1990年代のはじめです。しかも公式の観測地点は札幌・つくば・那覇の3地点しかないというデータ分母の弱さ¹。そして、現在、男性の予防意識の低さは致命的レベルにあり、女性も「本質予防」は出来ていないのが今の日本の現状なのです。世界を見渡すとオーストラリア同等に太陽紫外線研究で世界をリードしてきたのはカナダです。現在、世界共通で使用されている「UVインデックス」を考案したのはカナダのトロントの3人の科学者達です²。半世紀に渡る紫外線モニタリングの結果、1985年に南極大陸のオゾンホールが発見された危機感から1992年5月27日にUVインデックスは誕生しました。UVインデックスは何と今年、生誕25年なのです。

「オゾン層が枯渇すると大気は太陽紫外線を吸収する機能を失いより多くのUV太陽紫外線が地表に到達する」この懸念から成層圏オゾン(オゾン層)を枯渇させる物質の製造・使用・貿易を段階的に廃止することを定めた「モントリオール議定書」も1987年にカナダで採択されました。奇しくも今年の9月16日で30周年です³。太陽紫外線「予防」先進国がオーストラリアなら、太陽紫外線・オゾンデータ「分析」先進国はカナダです。スイスのジュネーヴに本部を置く世界気象機関(World Meteorological Organization; WMO)は紫外線モニタリングに関する特別委員会を設置しカナダのトロントにあるWOUDC(World Ozone and Ultraviolet Radiation Data Center:世界オゾン・紫外線データセンター)で日本の気象庁をはじめ世界中で観測された太陽紫外線データの収集を行っています

前述のオーストラリアとカナダ以外にも、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スイス、オランダ、イタリア、スペイン、デンマーク、フィンランド、ロシア、ニュージーランド、ブラジル、アルゼンチン、チリなども太陽紫外線研究と本質的な予防文化で遥かに日本を凌ぎます。残念ながら現段階で日本はUV太陽紫外線研究・予防の後進国です。「何故、カナダの会社と太陽紫外線の共同研究をやっているの?」と私はよく聞かれます。私は、「カナダ、特にトロントには太陽紫外線・オゾン研究の最先端の知見と技術、データ分析力と優秀な人材の全てが揃っているからです」と答えます。QSunはカナダのトロントで大注目のヘルスケアベンチャーComfable社が開発・製造(当然、私も関わっています)しています。サポーターである名門トロント大学が持つ最先端技術もQSunに反映されています。「QSunの紫外線センサーって正確に測定出来るの?」太陽紫外線研究の国際事情を知らない方から質問が飛びます。私は苦笑いしながらこう答えます。「日本のように統一性が無いセンサーと違い全てが国際基準以上です」と。日本の気象庁は世界に誇れる優秀な政府気象機関ですが太陽紫外線研究では実はアジア地域においてすら遅れを取っています。私の役目は、日本のUV太陽紫外線研究・情報発信・予防を世界レベルに引き上げることであり、地球規模でのUV太陽紫外線の悪影響から人類の「肌」と「目」を守り健康被害を1人でも減らす研究成果をあげることなのです。
▶︎無料QSunアプリダウンロード iOS Android

Sources:

1. 国土交通省「気象庁」
http://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/diag_cie.html
2. Toronto Star Newspapers Ltd. 
https://www.thestar.com/news/gta/2017/05/27/celebrating-a-life-altering-canadian-invention-the-uv-index.html
3. SunSmart Victoria
ww.sunsmart.com.au/about/media-campaigns/media-releases/2012-media-releases/media_release_20120916.html
4. 環境省「紫外線環境保健マニュアル2015」
https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf

コメント

このブログの人気の投稿

イルカの皮膚の神秘

皆さんはイルカの皮膚を触ったことがありますか?私はあります。幼少の頃にもありますし、実はつい最近も好奇心と探究心を持って触らせて頂きました。その感触はもちろん人の皮膚とは大違い。魚類のウロコとも違います。見た目がテカテカしてるからツルンツルンしてるのかと言えばそうでも無くザラザラしたような感触も多少あり、これが最適な表現なのかはよく解りませんが、私は「ブニュブニュ」という言葉の響きが一番しっくりくると感じています。バスケットボールの表面に近いと言えば解りやすいでしょうか? そもそも、なぜ私がイルカの皮膚に強い興味を抱き独自に研究をしているかというと、 イルカの皮膚は2時間に1度生まれ変わっている という衝撃な事実を知ったからです。一説ではイルカは人類の次に知能が高いコミュニケーション能力を持っていると言われており、異なる生息海域ごとに方言まであるそうです。バンドウイルカは人間と同じように個体を名前で認識してコミュニケーションしていることなどがよく知られています。 知能が高いが故に人間と同様にストレス発散のために集団いじめを行ったり精神的に追い詰めるような残酷な一面があることもまた知られています¹。そのような精神的陰陽と時速50kmで泳ぐことができたり、最高8mジャンプ出来たり²、脳を半分ずつ眠らせて泳ぎながら寝ることができたり、皮膚が2時間に1度生まれ変わったりすることを考えると実は人類以上の能力を秘めているような気さえしてきます。さて、少し話が逸れましたが本題です。イルカの皮膚はなぜ2時間に1度生まれ変わるのでしょうか?解りますか?結論からいうと 水の抵抗を極限まで減らして早く泳ぐため です³。美容のためではないんですね〜。 水の密度は空気の800倍ほどあると言われています。水泳などで皆さんも経験があると思いますが水中では体に沿って乱流渦が発生して身体の背面に回り身体を引っ張るため前進を妨げる抵抗を感じます。イルカのバスケットボールの表面のような弾力性の皮膚はスポンジのように水分を吸収するヒドロゲルで覆われた表皮、真皮、脂皮の三層から構成されておりクッションのように乱流渦の抵抗を防ぐ(水圧を吸収する)のです。最近の研究では、 はがれ落ちる皮のしわの突起の部分がイルカの皮膚の表面にできる乱流渦を抑制して抵抗を抑えている とも考えられています⁴。 イ

日焼けサロン(日焼けマシン)は危険ですか?

「夏の輝き」「冬に向けた深み」を出すためにあなたが「顔」や「腕」など身体を黒くしたい衝動に駆られた時、日焼けサロンは一見良い選択肢のように思えるかもしれません。日除けマシンは、国際がん研究機関(IARC - 世界保険機関(WHO)の外部組織)が日焼けマシンをグループ2A(ヒトに対する発がん性がおそらくある化学物質、混合物、環境)ランクから、一番危険なグループ1(ヒトに対する発がん性が認められる化学物質、混合物、環境)へランクを引き上げるまでの2000年代後半までは比較的普及していました。日焼けマシンで身体を人工的に焼く行為に発がん性が認められて以降、我々の大半が日焼けサロンを避けるようになりましたが、あなたが出張や旅行で別の都市に移動すると日焼けサロン店に遭遇する可能性があります。日焼けサロンは非常に危険であるにも関わらず何故ビジネスモデルが成り立っているのでしょうか? 法律的に合法なんでしょうか? まず、我々は日焼けマシンと太陽の比較を理解することが重要です。太陽は、我々が住む地上に2種類のUV太陽紫外線を放出しています。UV-A(生活紫外線)は、我々の皮膚[表皮→真皮→脂肪層(皮下組織)]の真皮まで浸透して色素沈着(サンタン)、シミやシワなどの早期光老化を引き起こします。UV-B(レジャー紫外線)は我々の皮膚[表皮→真皮→脂肪層(皮下組織)]の表皮の細胞核に強いダメージを与えて日焼け(サンバーン)、色素沈着(サンタン)、浮腫などの炎症、皮剥けなどの原因となります。そして、 日焼けマシンは主にUV-Aを人工的に放射 します¹。 利用者の中には日焼けマシンで ビタミンD 合成が出来ると誤解している人達もいます。 ビタミンD合成を担う のはUV-Bに曝露する必要があります。 日焼けマシンは主に人工UV-Aを放射するので決してビタミンDの供給源ではありません ¹。 多くの日焼けサロン店は、日焼けマシンは日焼け予防を目的にしたベースタン(一度日焼けをすれば太陽紫外線の害から避けられるという間違った日焼け)を得るために効果的だと主張しています。ベースタンで多少の保護(SPF4程度と言われています)はありますが、QSunチームがこれまで何度も何度もお伝えしているように 「日焼けした肌は傷ついた皮膚」 です。UV照射に晒されると皮膚細胞は自己防御メカニズムの

太陽と人類の相反する歴史とQSunが切り開く共存という未来

人類が古代から太陽に対し崇拝と忌避を繰り返してきた歴史があることを皆さんも何となくご存知かもしれません。この相反する歴史は大きく7つに区分されます。ミステリー好きであれば古代ローマ・エジプト・マヤ・アステカ文明と聞くと太陽神信仰崇拝の生贄儀礼などがすぐに頭に思い浮かぶと思います。この 「1区分」 の時代は太陽はその恵みにより生命と食物を育み病気を治し災害を遠ざける創造神とも絶対神ともいえる特別な存在で生命維持装置の役割を担っていました。 第一次太陽崇拝時代 です。 そして時は流れ 「2区分」 の1700年〜1800年代、特に西欧で白い肌が富の象徴とされる現象が起きました。 第一次太陽忌避時代 です。この時代に初めて太陽忌避という強い概念が誕生して日光を避ける文化が定着。太陽防御のパラソルや帽子やスカーフなどが登場し日常生活に定着しました。それとともに太陽がもたらす負の部分が少しずつ解明されていきました。 「3区分」 はココ・シャネルが生んだブロンズルックの大流行に伴う 第二次太陽崇拝時代 です。若者を中心に日焼け=健康=グラマーの象徴といったような日焼け礼拝が巻き起こりました。しかし日焼けの害が広く知れ渡ることになると1920年代後半には日焼けの弊害が具体的に認識され日光防御としてサンスクリーン剤が初めてこの世に誕生しました¹。これが 「4区分」 の 第二次太陽忌避時代 です。 そして1930年代〜1940年代は 「5区分」 の 第三次太陽忌避時代 として太陽の悪影響と防御の研究開発が盛んに行われました。この僅か数年後の第二次世界大戦直後1946年以降〜には 「6区分」 として現在に通じる小麦色の肌=健康というシンボル化が形成され太陽崇拝が再燃しました。ビキニスタイルの大流行や現代の日本でも特に男性の意識化に潜在的に強く残っている日焼け・サンタン(黒化)=健康=カッコイイという概念が文化として定着。これが 第三次太陽崇拝時代 です。 1990年代に入りオゾン層破壊と太陽紫外線の具体的な悪影響(皮膚がんや白内障や免疫機能低下など)が全世界の知るところとなりました。今日まで続く 「7区分」 の 第四次太陽忌避時代 です。UVカット機能が搭載された日傘やサングラスや帽子などの予防アイテムが充実し、サンスクリーン剤は著しい進化を遂げました。しかし、この第四