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秋:「光老化」に一番差が出るUV太陽紫外線曝露の季節


コオロギの鳴き声が秋を告げます。気候の暴走で今夏1.5ヵ月ほど秋がずれ込むぐらいの連日の猛暑を予測しておりましたが、特に東日本は夏らしい夏を実感する間も無く秋が到来して何だかモヤモヤしている方も多いかもしれません。昨今の異常気象は日本に起こる現象だけ捉えても予測が困難な複雑極まりない気候になっていることは間違いありません。「地球というシステムの一環」として気候を捉える重要性が更に増してきたと言っても過言では無いでしょう。

さて、夏によく耳にした太陽光を表す表現に「日差しが強い・弱い」があります。一般的に日本人は太陽光がギラギラ照ってる時に「日差しが強い」、日射が少ない曇り空の時に「日差しが弱い」というような表現を用います。日差しは陽射しとも記すように主に太陽光のギラギラ、つまり目に見えて眩しい光、約400〜800nm波長域である可視光(VIS)のことを指しており、決して紫外線(UV)の強さを表現している訳ではありません。今夏、様々な年齢の方とお話させて頂く中で、日本人の大半の方の理解が「日差し(陽射し)が強い=紫外線が強い」と脳で勝手に変換している部分が、UV太陽紫外線の正しい理解を邪魔していることに私ははたと気づきました。もう一度、言います。日本人が言うところの日差しとは、大多数が目に見える可視光(VIS)のことを指して表現しており、決して紫外線(UV)の強弱を指している訳ではありません。まず最初に、秋のUV太陽紫外線を理解する上でこのことを正しく理解してください。

例えば、TVの天気予報でキャスターが「今日は秋晴れで日差しが強いでしょう」という表現を使ったとします。それは、可視光がたくさん地上に降り注いでいますよ!という事であり、「あっ、今日は確かに太陽が眩しくて良い天気だなぁ。でも紫外線は可視光とは全くの別物。実際の紫外線の強さはどうなんだろう?」とQSun無料アプリを開いてチェックすべきなのです。日差しと紫外線を同列で考える稚拙な思考を日本人はそろそろ卒業すべき時です。日本では、地上に届く太陽光は「可視光(VIS - 目に見える光)」が約52.0%、「赤外光(IR - 目に見えないが熱として感じる光)」が約42.0%、「紫外光(UV - 目に見えない光)」が約6%で組成されていると一般的に言われています¹。しかし、実際は空気分子、エアロゾル、オゾン、酸素、水蒸気、雲などの環境変化(吸収・散乱・反射)や場所により大きく割合が異なってくるためにUV予防先進国では太陽光の組成割合に余り触れていないのが現状です。確かにギラギラした太陽光においてはUV-B量は増加傾向にありますが、UV-Aも並行して増加するかと言うと一概にそうではありません。通常、国際的には紫外線は全く異なった性質を持つUV-AとUV-Bという2つの波長を明確に分けて話がなされます。紫外線を大きな塊で考えるのでは無く、UV-A・UV-Bの性質を正しく理解した2つの波長予防が今後日本でも求められます。

日本の秋(9月-11月)は、春(3月−5月)以上に「早期光老化」の影響を一番受けやすい季節です。春ではなく何故、秋の方が光老化を促進しやすいかと言うと、それは夏のギラギラした太陽から急速に穏やかな太陽光へと日差しが移行していくからです。特に「日差し(陽射し)が強い=紫外線が強い」と勘違いしていた方々のように、ギラギラする夏はバッチリとUV対策していたものの、徐々に日差しが弱まってきたから「もう大丈夫だろう!」とサンスクリーン塗布を怠けたり、日傘を差し忘れたり、そういうほんのちょっとした油断の日々の積み重ねが、思わぬ取り返しのつかないシミやシワなどの光老化を促進させてしまうのです。それが「光老化」に一番差がつく秋という季節なのです。


図1) 東海大学 太陽UV-Bと太陽UV-Aの季節変動 - 佐々木政子名誉教授¹ 


上記は少し古いデータですが、東海大学による「1990年-2000年に取得したUV-B(左)とUV-A(右)の季節ごとの平均値」の信頼できるデータです¹。左側のUV-Bは季節によりバラつきが多く見られますが、右側のUV-Aは年間変動幅が非常に小さいことが解ります。我々が取得している最新データでもUV-B・UV-Aそれぞれの異常な増大と季節拡大以外はほぼ同様の傾向が見られます(我々のデータはまだ丸1年分のデータしか取得出来ておらず平均値が出せないため非公表)。さて、私は皆さまに、これからは紫外線をUV-AとUV-Bにしっかり分けて予防出来るようになりましょう!とお伝えしました。「UV-Aが特にシミやシワといった光老化の犯人」であることは今更言うまでもないでしょう。そして、「UV-Bは日焼けや皮膚がんや白内障などの犯人」であることも。日差しが強かろうが弱かろうが、UV太陽紫外線は日の出から日の入りまで年間を通じて地上に降り注いでいます。皆さまがその目で天気を感じる以上に、我々は目に見えないUV-AとUV-Bに毎日曝露しているのです。UV-Bは雨空・曇り空・冬に近づくにつれ減少する傾向があり、UV-Aは冬に近づいても、そして冬でも年間を通じてほぼ変わらない量が降り注いでいると理解してください。秋は11:00-13:30まではUV-Bも強く、UV-Aは8:00-17:00までは最低限意識して予防すべきです。もしも、あなたが「光老化」にひどく悩まされているなら「アンチエイジング」効果を謳う商品や「飲む日焼け止め(現在のところサンスクリーンのサポート程度の効果しかありません)」などに多額のお金を賭けて安心を得るのではなく、ぜひ、QSun無料アプリとQSun紫外線計測コンパクトデバイスを活用して毎日の予防油断を減らす習慣を身につけてみませんか? 誰にでも自然老化は訪れますが、光老化はその根本原因であるUV-Aを適切に防御することでお金を賭けずに抑制出来るのです。生活習慣病や歯周病予防同様に光老化対策も毎日の「習慣」は決して裏切りません。
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Sources:

1.佐々木政子 編著 - 太陽紫外線と上手につきあう方法 - 丸善出版(2015.6.30)

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