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WHO(世界保健機関):メラノーマ2035年問題


UV太陽紫外線の過剰な曝露、つまり「日焼け」という肌の損傷行為の蓄積ダメージが皮膚がんに繋がる恐れがあることを我々はこれまで幾度となく指摘してきました。でも、まだまだ日本ではUV太陽紫外線予防は美白・美肌寄りであり、いまいちピンとこない、というのが現状のようです。でも、日本でも実は皮膚がん発症がまだ大きく顕在化していないだけで、実は相当数潜在しているかも知れない!とすると、あなたはどう思いますか?

実は少し怖い予測データがあります。それはWHO(世界保健機関)による2035年までに全世界におけるメラノーマ患者数が388,262人に達し、関連死者数は98,288人に上るという推定予測です¹。「メラノーマ2035年問題」とでも名付けましょうか。例えば人口あたりのメラノーマ罹患数が世界1位のニュージーランドではメラノーマの罹患数が毎年4,000人超と増加の一途であり² 、世界第2位のオーストラリアでは2017年7月27日現在で13,941人が新たにメラノーマと診断されており³ 、アメリカでは2017年7月27日現在で87,110人が新たにメラノーマと診断され、メラノーマに関連する死者数は9,730人と推定されています。イギリスでは2014年の統計で15,419人が罹患。最新の世界統計(2012年)ではメラノーマは世界で19番目に多いがんであり、2012年には世界で232,000人が新たにメラノーマと診断されました(がん全体の2%)

皮膚がんは大きく3種類に分類されます。【1】基底細胞がん(日本人に最も多いがん)【2】有棘細胞がん(UV太陽紫外線曝露が大きく関連するがん)【3】メラノーマ(日本ではUV太陽紫外線曝露と関係なく発症するケースが多いが世界的には特に欧米豪でUV太陽紫外線曝露の蓄積ダメージで発症するケースが非常に多い悪性度が高いがん)。私自身もUV太陽紫外線曝露蓄積ダメージが主原因でメラノーマ(悪性黒色腫)を発症・闘病しました。メラノーマは簡単に言うと皮膚にあるメラノサイト(色素形成細胞)という皮膚細胞に悪性(がん)の細胞が認められる皮膚がんのことです。転移が非常に速く皮膚表面だけでなく他の臓器にもがんが転移するため致死性が高いのが特徴です。早期の段階に治療すれば大部分が治癒可能です。しかし、ステージ IV の進行期メラノーマと診断されたアメリカの患者の場合、5年生存率は平均15~20%、10年生存率は約10~15%と極端に生存率が下がります

太陽紫外線がもたらす悪影響の厄介なところは熱中症のようにすぐに命に関わる症状が出ないことです。日々の少量のダメージが徐々に徐々に蓄積されてUV-Aによりシミ・シワといった早期光老化が進行し、UV-B曝露により皮膚がんや白内障などの重大な病気を発症するリスクが高まる恐れがあるのです。フランスのリヨンにあるiPRI(国際予防研究所)のAlice Koechlin氏は「メラノーマで死亡するリスクが最も高いのは1900〜1960年の間に生まれた人々でUV太陽紫外線の悪影響は当時ほとんど知られず医療関係者でさえ日照は全てにおいて健康に良いと信じられていた世代」だという論文を発表。一方で、アメリカのNCBI(国立生物工学情報センター)はメラノーマはアメリカにおいて青年(15-39歳)の間で診断される3番目にメジャーながんであり今後の更なる増加は予断を許さない状態にあること、そして紫外線量増加に伴い予防対策が遅れている国での高リスクを指摘しています。例え面倒であっても予防指標を把握した適切な予防を毎日心掛けることが重要です。QSunはあなたのお肌にカスタマイズした予防指標を無料で提供しています。是非ご利用ください!
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Sources:

1. World Health Organization
http://www.who.int/uv/faq/skincancer/en/index1.html
   International Agency on Cancer Research
http://www.iarc.fr/
   EUCAN
http://eco.iarc.fr/eucan/Cancer.aspx?Cancer=20
2. Melanoma New Zealand
https://www.melanoma.org.nz/
3. Australian Institute of Health and Welfare
http://www.aihw.gov.au/cancer/melanoma/
4. National Cancer Institute
https://seer.cancer.gov/statfacts/html/melan.html
5. Cancer Research UK
http://www.cancerresearchuk.org/health-professional/cancer-statistics/statistics-by-cancer-type/skin-cancer/incidence#ref-6
6. World Cancer Research Fund International
http://www.wcrf.org/int/cancer-facts-figures/worldwide-data
7. The International Prevention Research Institute (iPRI)
http://www.i-pri.org/?s=Experts+predict+melanoma+death+rates+will+fall+by+2050
8. Melanoma in adolescents and young adults (ages 15-39 years): United States, 1999-2006
Hannah K. Weir, PhD,a Loraine D. Marrett, PhD,c Vilma Cokkinides, PhD,d Jill Barnholtz-Sloan, PhD,e Pragna Patel, MD, MPH,b Eric Tai, MD,a Ahmedin Jemal, DVM, PhD,d Jun Li, MD, PhD, MPH,a Julian Kim, MD, FACS,f and Donatus U. Ekwueme, PhDa
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3254089/

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